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ビオディナミのワイン生産者、殺虫剤不散布で訴追を受ける 【フランス】 2013年11月29日


ブルゴーニュのボーヌ(Beaune)のビオディナミ(biodynamic)生産者が、Flavescence doréeと呼ばれるぶどうの病気の防除として、殺虫剤を散布しなかったとして罰金30,000ユーロ(約420万円)と6か月の懲役の訴えを起こされた。

訴えられたのはボーヌのワイン生産者Emmanuel Giboulot氏。訴えたのはDRAAF-SRALと呼ばれる強い権限を持つフランス農務省の組織。DRAAF-SRALは、同氏がFlavescence doréeを引き起こす媒体となる、俗にleaf hopperと呼ばれる昆虫の防除を行わず、コート・ドール(Cote d’Or)全体で定められている指令に従わなかったかどで訴追した。

ドイツのぶどう品種Scheurebe(ショイレーベ) に感染したFlavescence dorée


Flavescence doréeはある種のバクテリアの感染で起こるぶどうの病気で、若い木に感染すると死滅する。また古い木に感染しても、極端に収量や品質が落ちる病気で、現在のところ感染後の有効な治療法はないとされる。

Flavescence doréeの原因であるバクテリアはleaf hopperが媒介するため、leaf hopperの駆除が求められている。Flavescence doréeは、過去数十年間でフランス各地域で徐々に感染エリアを広げ、現在ではイタリアやドイツ、スイス、オーストラリアなどにも広がってきている。

今回の訴追は、Giboulot氏が定められた防除を行わなかったとして当局が行ったものだが、Giboulot氏側は、私たちは完全なオーガニック栽培やビオディナミ栽培をおこなっているわけではないが、1970年代からいわゆるオーガニックファーミング(organic farming)を行ってきている。

私たちは何十年もやってきたやり方をやめたくないし、健康なぶどうに薬剤を撒きたくはない。ましてその薬剤散布が効果的かどうかの証明はないと反論している。同氏は、薬剤散布が唯一の解決法なのか、ほかの選択肢はないのかを問いたい。薬剤散布は散布する我々自身の健康問題であり、消費者の健康問題でもあると主張する。

ブルゴーニュではFlavescence doréeの感染が2011年に認められ、2012年にはマコン地区(Maconnais)で12ヘクタールのぶどうが引き抜かれた。ブルゴーニュワインの統括団体は、現在のところ感染は大規模ではないが、この病気の蔓延は何としても食い止めなければならないとしている。


【Behind the Scene】

ぶどうの病気は、ワイン生産者・ぶどう生産者にとって頭の痛い問題です。特に治療法・解決法がなく、ぶどうが重篤な状態あるいは死滅に至る病気の蔓延は脅威です。

過去にはフィロキセラ(phylloxera)の大発生が、ヨーロッパのワインに壊滅的な危機をもたらしましたし、現在でもフィロキセラの発生は世界中で恐れられています。

また1990年代後半ごろ、カリフォルニアでブレークしたPierce's disease (PD:ピアース病)も有効な治療法がなく、当時はあと10年ほどでカリフォルニアのワインは壊滅すると言われました。この病気もFlavescence doréeと同じで、glassy-winged sharpshooter (GWSS)というウンカのような昆虫がバクテリアを媒介して起こる死滅的な病気です。

現在も、カリフォルニアのワイン産業では巨額の資金を投じてPierce's diseaseの研究と拡大の阻止をおこなっています。

しかし一方で、オーガニックなぶどう栽培の流れがあり、薬剤を使うことへの抵抗や拒否反応も見られます。

ここは思想や理念がぶつかるところでもあり、何が優先課題なのかは人によって違いそうです。この問題はぶどう栽培に限らず、人間と農業生産物のあり方の根底を問う問題のように思います。

(伊藤嘉浩)




【関連ページ】

ピアース病(Pierce’s Disease)耐性のぶどう品種、2015年にも利用可能に 【アメリカ】 2013年12月25日』
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オーガニックワイン考
遺伝子操作ワインの出現で思う




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