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UC Davis、今後のワインの調査研究項目・課題に言及 【アメリカ】 2016年9月29日


カリフォルニア大学デーヴィス校(University of California, Davis)のViticulture and Enologyの学部長David Block教授は、最近の最先端の研究成果と将来に向けてのワイン産業界との新しいパートナーシップの可能性について言及した。

David Block教授は、ワイン界における様々な研究開発投資は、一般の産業界で行われている金融投資のように、近い将来最も効率的な投資分野になると語っている。その一例として教授は5つの対象項目を挙げる。

  • Chardonnay clone 4とclone 5について
  • コルクテイント(cork taint)の除去
  • Adams-Harbertson tannin assay
  • 少ない水分供給環境下での台木(rootstocks)の研究
  • カリフォルニア・全米・全世界のワイン業界に向けてのぶどう栽培とワイン醸造教育プログラムの推進

加えて以下の研究項目にも言及している。

  • 病気や害虫耐性のあるぶどう品種と台木の開発
  • 微生物相(microflora)がワインに与える影響の研究
  • 個別のぶどうの木に対するピンポイントの水分供給の研究

一体どれくらいの費用をこれらの研究投資に費やすべきか。Block 教授は、まずはワイン産業がどういう将来ビジョンを持っているかというところから始めなめればならない。そのうえで、各研究投資項目がそのビジョン達成に貢献できるかどうかを検討する必要がある。

そうすると、そのビジョン達成にどれくらいの費用が掛かり、どうやってその費用を調達するのかが見えてくる。このプロセスはUC Davisが優れたパートナーと協力関係を結ぶ上で極めて重要だと語っている。


【コメント】

近年のワインに対する科学的な手法の導入は、世界のワインの様相を大きく変化させたと思います。ワインに対して、いろいろな科学的な見地からの研究発表は目白押しです。しかしそのどれもが正当で、有用であるかはこれもまた大きな議論が起こるところです。

例えば上に掲げられたAdams-Harbertson tannin assayというのは、ワインのタンニンの分析手法ですが、現在実際に多くのワイナリーでタンニンの分析手法として使われている一方、その精度と有用性に疑問符が投げかけられるなど、学術研究面での不一致もあるようです。

現在世界中のワイン研究者が非常に大きな関心をもって見ている領域が、ワインが生まれる環境の微生物に関する研究領域です。提起される疑問には次のようなものがあります。

  • ワイナリーというのは、個別の“house” microfloraを形成するのだろうか。
  • ぶどうの生産地域は個別のマイクロフローラを持つのだろうか。
  • 導入されるぶどう品種は固有のマイクロフローラを持っているのだろうか。
  • ぶどう畑のブロック別に固有のマイクロフローラが存在するのだろうか。
  • その地域の微生物相は、ワインに影響を与えるのだろうか。

最近『腸内フローラ』という言葉がよく聞かれるようになっています。人の持つ腸内細菌が、もしかすると人の個性や性格にまで影響を及ぼしているのではないかという全く新しい視点です。

ぶどうとワインも同様に、そのぶどうやワインが持つ個別の微生物相(micro biome:マイクロバイオーム)が、実はぶどうやワインに個性を与える大きな要素になっているのではないのかという仮定です。

この研究はまだ始まったばかりで、その真偽のほどはわかりません。ですが研究テーマとしては科学者らが非常に興味を引き付けられるテーマで、世界のあちこちでその領域の研究が始まっています。

UC Davisが示すその他のどの項目も、現代のワイン生産者が高い関心を示すものです。オーストラリアは、国家主導による今後5年間のワインの研究投資分野を決定しましたが(【関連ページ】参照)、アメリカの場合は大学が民間との協力で投資項目が決定されるようで、その体制の違いも興味深いところです。

(伊藤嘉浩)



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【関連ページ】

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