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ボルドー大学のDenis Dubourdieu(ドゥニ=デュブルデュー)教授、死去 【フランス】 2016年7月27日


ワイン醸造学者であり優れたワインメーカーで、著名なワインコンサルタントでもあったフランスボルドー大学のDenis Dubourdieu(ドゥニ=デュブルデュー)教授が、2016年7月26日脳腫瘍のため死去した。67歳だった。

デュブルデュー教授は、ソーテルヌのバルザック(Barsac)に生まれ、祖父の代から所有しているChâteau Doisy Daëne(シャトー・ドワジデーヌ)に育った。現在はその他にChâteau Reynon(シャトー・レイノン)やClos Floridène(クロ・フロリデーヌ)などいくつかのシャトーも所有している。

教授はいくつかの著名なボルドーのシャトーのコンサルタントもしており、代表的なシャトーにはChâteau d'Yquem(シャトー・ディケム)、Château Cheval Blanc(シュヴァルブラン)、Château Margaux (Pavillon Blanc)(シャトーマルゴーのパヴィヨンブラン)をはじめそうそうたる顔ぶれが並ぶ。

教授は1949年に生まれ、モンペリエ大学で植物栽培学と経済学を学んだ後、ボルドー大学で、貴腐ぶどうの分子構造の研究でワイン醸造学の博士号を得る。またその4年後には、貴腐ワインでのフィルタリングとファイニングの研究でもうひとつの博士号を得ている。

1987年にボルドー大学のワイン醸造学の教授となり、2009年にはボルドー大学l'Institut des Sciences de la Vigne et du Vin de l'Université de Bordeaux (英語表記: Institute of Vine and Wine Sciences of the University of Bordeaux)の初代責任者に任じられている。この組織はいくつかの学術組織を束ねるインスティテュートで、ワイン関連の幅広い学術的な教育・研究活動を包括している。

デュブルデュー教授が果たしてきた役割は、近代のワイン界でぶどう栽培からワイン醸造の深いレベルでの貢献に、極めて大きなものがある。教授が手掛けた研究成果は実際に世界中のワインの生産現場で実践的に使われ、世界のワインの品質向上に極めて大きく貢献している。

教授は2014年のあるインタビューの中で、Clos Floridène(クロ・フロリデーヌ)の立ち上げが、最も印象深いことだったと答えている。

Clos Floridèneは1982年以来、Florence(フローレンス)夫人とともに2ヘクタールの畑をいちから育てたワイナリーで、現在では白ぶどう17.3ヘクタール、黒ぶどう22.7ヘクタールのGraves(グラーヴ)でも特筆されるワイナリーのひとつとなっている。

人生で最も後悔することはとの問いには、『たった一つしか命がないことだ。人生は短すぎる』と答えている。


【コメント】

デュブルデュー教授の67歳というあまりにも早い訃報の知らせに驚きました。

教授の業績を挙げればきりがありませんが、特筆すべきはその研究が、ぶどう作りとワイン造りの現場実践にいつも直結しているということだと思います。

教授の研究項目を熟知しているわけではありませんが、教授の示した数々の研究は、ぶどう栽培者やワイン醸造者がその実践で抱く『なぜ』の根本部分を科学的に解き明かし、なるほどそういうことだったのかという大きな示唆を現場実践に与えるものです。

ボルドー大学の富永博士らとともに行ったソービニオンブランのvolatile thiols(ヴォラタイルチオール)の研究は、世界のソービニオンブランの生産に極めて大きな影響を与えました。

また最近の『ワインの熟成前酸化(premature oxidation)』の研究では、その原因物質を特定し、熟成前酸化のメカニズムの解明に迫っています。熟成前酸化は現代のワインが抱える潜在的な問題にかかわっていますが、その解決はぶどう栽培にあることを強く示唆しています。

教授の偉業は、著名なワイナリーをコンサルタントすることで、優れたワインを造り出すというワイン醸造家としての側面が強調されがちですが、そこにはそのもととなるぶどうへの理解と研究、ぶどう栽培の深い理解があって初めて成し遂げられることではないかと思います。

教授はこの40年にわたり、世界のワインを科学的な観点から、ぶどう栽培とワイン醸造の細かなディテールに至る部分の改善を主導してきた、現場実践と直結した稀有な偉人だったと思います。

ご冥福をお祈りします。

(伊藤嘉浩)




【関連ページ】

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