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2014年のワイン界の展望  2014年1月4日


◆ 世界のワイン界の展望

世界全体のワインの消費傾向を見てみますと、過去数十年間にわたり、フランス・イタリア・スペインといったヨーロッパの大ワイン生産国の国内ワイン消費は、減少のトレンドに変わりがありません。

しかしながら、アメリカや中国といったヨーロッパ以外の国々のワイン消費の増加が、その減少を補っているという構図に今後も大きな変化はなさそうです。

2013年の世界のワイン界でのひとつのトピックは、それまで過熱的・熱狂的ともいえる中国への、世界のワイン界からの見方がかなり沈静化したことが挙げられると思います。

とは言え、中国のワイン消費とワイン生産は現在も増加し続けており、今後ますます世界のワイン界の中心的な存在になっていくことと思われます。ただ、中国経済の成長の鈍化などもあり、また中国の消費者のいっときの熱狂からの鎮静化で、2013年に入った頃からは世界のワイン界からも、これまでのような中国への狂乱的な見方は落ち着いてきたようです。

中国が本格的なワイン大国になっていくのかの不安定要素はあるものの、依然中国のワイン消費とワイン生産の動向には2014年も注目が注がれることでしょう。

世界のワイン生産分野とマーケットの流通環境に目を転じてみますと、2012年はフランスを筆頭にヨーロッパが大幅な収量低下となりました。続く2013年も回復したとはいえ、ヨーロッパ全体では作柄の不作が指摘されています。

2014年はそうしたワインが市場に供給されてくる年となります。そこで一部では需給のバランスが崩れるのではという観測もありますが、個人的な見解としては、一部のワインでは需給がひっ迫する場面があるかもしれませんが、世界全体を見回してみると、極端なワインの供給不足が起こるということは考えづらく、ワインの奪い合いになるということは考えづらいと思います。

ただし、ブルゴーニュの一部の銘柄などでは、局地的に供給不足が起きてくるかもしれません。ブルゴーニュワインでは、ワインの方向性は違いはするものの、2009年・2010年の良作のヴィンテージの在庫が市場にあるうちに、それらのヴィンテージの多少厚めの在庫戦略をとっておくという選択はあろうかと思います。

ワインのスタイルの変化については、フェノールやタンニンの蓄積を伴った高いアルコール度のワイントレンドから、徐々にニュアンスを伴った落ち着いた感じのワインが出てきている傾向があるように思います。

少し極端かもしれませんが、アメリカ・イギリス・オーストラリアなどの市場ではアルコール度数が10パーセント以下の低アルコールワインがヒットを見せていますし、例えばNapaのワインにおいても、従来のナパのスタイルとは異なる柔らかなニュアンスを持ったワインも出てきている印象を受けます。

こうした事例をもって、世界のワインのトレンドが明らかにそういう傾向にあるとは言いきれませんが、ワイン消費者の嗜好・選好がやや変化してきているのかもしれません。また世界の主要なワイン市場では、品質志向の動きは明らかに出ていますから、この流れは続くものと思います。

2014年は、消費者はワインの選択でどういう行動をとるのか見てきたいと思います。


◆ 2014年の日本のワイン界の展望

2013年に入った頃から、それまで10数年間ほとんどワインの消費の増加のトレンドがなかった日本のワイン市場に、少し上向き傾向が見られるようになってきたようです。その増加分の大半は、低価格帯のワインの数量増加によってもたらされているようです。

昨年『2013年のワイン界の展望』でも触れましたが、業務用市場においてはバル(バール)などのカジュアルにワインを飲める店舗展開が増え、そうした業態は洋食系だけではなく、居酒屋や中華系などにも広がりを見せています。(居酒屋バルとか中華バル、あるいはフレンチバルなる言葉も登場しているようです。)

また一般小売市場でもワンコイン(500円)ワインを筆頭に、1本498円〜798円程度のワインの消費が増加しているようです。

日本のワイン界では2013年のワインの消費数量増加を背景に、2014年は日本人一人当たりの年間ワイン消費量は3リットルを目指す(これまでは2リットル強)、という声も聞かれます。

ワインの消費数量の増加傾向は、これまでワインとあまり接点がなかった人たちが、ワインを飲む機会が増えたという見方ができるかもしれませんから、このことは良いことだと考えます。こうした新規にワインを楽しむ人たちが出てくるということはとても良いことです。

ただ料飲店・小売店頭では、中身が吟味されずに提供されているワインも散見され、初めてのワインでこうしたワインに遭遇すると、ワイン全体を自分には合わない飲み物だとイメージされてしまう恐れが多分にあるということも言えようかと思います。

世界の主要なワイン市場では、1本4ドル〜7ドルという価格帯はひとつの大きなボリュームゾーンです。またもう一つの大きなボリュームゾーンは9ドル〜13ドル程度の価格帯です。4ドル〜7ドル程度の価格帯のワインは、エントリーレベルのワインなどと呼ばれています。

私は低価格帯のワインを非難しているのでは全くありません。ワインがお値打ちで品質が良ければそれに越したことはありません。またカジュアルなデイリーワインの普及こそが、健全なワインマーケットの形成に欠かせないと考えています。

現在のところ、日本人の非常に多くは日常的にワインを楽しんでいるというわけではありません。これまで10数年間、ほとんどワイン消費の上昇傾向がなかったところに上昇傾向が現れたということは、これまでワインを飲んでいなかった人たちが消費する分が、上乗せされてきたと見てよいと思います。

こうした初めてワインを飲んでみようという方に、どんなワインが適するのかを判断するのはとても難しいことです。しかし、この機に乗じて何でもワインを売ろうとすると、後が続かないかもしれません。

我々は、かつてこのことで苦い経験をしています。それは1997年〜98年に起こった例の赤ワインの大ブームです。この時消費者は赤ワインの健康ブームに乗って、訳が分からないまま赤ワインを買い、飲みました。その結果、この年だけ一人当たりの年間ワイン消費量は4リットル近くに達しました。

しかしひとたびそのブームが去るや、消費は元に戻ってしまい、以後10数年ほぼ低位横ばいの状況が続いてきました。問題はそのブームの時に売られたワインです。ワインは本来おいしさを求めて飲まれるものですが、当時は赤い色がついてさえいれば何でも売れました。

ブームは短期間で終わりましたが、その時に赤ワインをこぞって買って飲んだ人たちが、その後も継続的にワインを買う(飲む)ということはなかったのです。なぜでしょうか。

それから10数年たった今年2014年、日本のワイン消費の増加が見られようかという時期がやってきました。是非ワイン業界で活躍されるワインプロフェショナルの皆様は、そのプロフェショナル度を発揮していただき、消費者を支え、導いていただければと思います。


◆ 日本産ワインについて

昨今、日本の国産ワインに関心を寄せる消費者が増えてきているようです。このところ、国内各所で新しいワイナリーの立ち上げが増えてきています。またいくつか『ワイン特区』なる地域の指定がされ、そこでは従来の規制より少量でワイン生産ができることになりました。

このところの日本のワイン生産についての動きのひとつに、ワインを町おこし・地域おこしに使おうという動きがあります。その地域にワイナリーをいくつかつくることによってぶどう作りとワイン造りを産業化させ、観光客を呼び込み、地域活性化の目玉にしようという発想です。

2014年は、おそらく日本中で多くの『ワイン特区』の申請が始まってくるのではないでしょうか。

『ワイン特区』に指定されると、その特区内でのひとつのワイナリーの年間ワイン生産量が、2000リットルという少量で良いことになりますから、確かに参入は楽になります。また、一部地域を除いて、ぶどうは日本中どこでも育ちますから、そのぶどうでワインを造るということは、日本のどこででもできます。

しかし問題は、そのワインが良質であるかということです。これはワイナリーを運営していくうえでも、地域をアピールする上でも根幹の問題です。日本のどこでもぶどうはできますが、そのぶどうから良質なワインが造られるかどうかは別の話です。

今のところ、日本のそれぞれのワイナリーの規模が小さく、そのワイナリーからリリースされるワインの本数が少ないことから、一部では『手に入らない』とか『まぼろし化している』などという話も聞きますが、今後国内のワイナリーが増えていけば、自然に淘汰が始まってきます。

自治体などの関係者の皆様やワイン造りに参入を目指しておられる皆様は、二歩・三歩先を見据えた、戦略的な視点で事前準備をされることをお勧めいたします。

その際に、参入を考えておられる皆様は、何が成功のポイントなのか、どういったことを事前に検討する必要があるのかといったことを、また自治体でワイン産業を誘致しようとなさる皆様は、その地域がワインにするためのぶどう栽培の環境に適しているのか、ワイン用のぶどう栽培のノウハウがあるのか、地域産業としてワイン産業に対してどういう道筋を立てるのか、そもそもその構想は、持続的な実現が地域特性からかんがみて可能なのかどうかといったことを、よく検討されると良いのではないかと思います。

日本のどこででもワイナリーをつくって、そこでワインを造ることは可能です。また特段のワイン造りの経験がなくても、ワインはできます。しかしそのワインが良いワインでないと、消費者からの継続的な支持は得られなくなってしまいます。

かつてビール製造の規制緩和により、日本中に非常に多くの地ビールの醸造場が造られました。どのミニブルワリーも多額の投資を行い、成功を目指しましたが、結局大多数の地ビール会社は多額の負債とともに姿を消しました。

昨今日本のワインの生産分野で、ワイナリー設立の動きは各所でみられるようになり、今年2014年あたりからその参入もかなり増えてくると言われています。これからのワイナリー建設が、かつての地ビールの二の舞にならないようにしたいものです。ここしばらくその動きを注視していきたいと思います。

ワールドファインワインズでは、こうした皆様のご相談・サポートをさせていただいています。ご一報いただけますと幸いです。詳しくはこちらをご覧ください。

(伊藤嘉浩)



【関連ページ】

2017年のワイン界の展望
2016年のワイン界の展望
2015年のワイン界の展望  2015年1月6日』

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ワインの高アルコール度化からの回帰はあるのか』

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