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バローロのクリュの境界線をめぐるバトルが再燃 【イタリア】 2013年11月4日


バローロ(Barolo)といえばイタリアはもちろんのこと、世界を代表するワインの銘醸地だ。近年では、その中でも特に秀逸なワインを産出するとされる区画が“cru”(クリュ)として、特別なエリアであるとして名前が与えられている。

そのバローロの代表的なクリュのひとつであるCannubi(カヌービ)のエリアの境界をめぐって論争が再燃している。

2013年10月、ローマの上級裁判所は、Cannubiのエリアを従来の歴史的慣習にしたがった15ヘクタールとするとした過去の決定をくつがえし、その地の代表的な生産者のひとりであるMarchesi di Barolo(マルケージ・ディ・バローロ)のErnesto Abbonaの主張する、Cannubiの丘陵全体である34ヘクタールをCannubiのクリュとして認定した。

この決定に対しCannubiの生産者の多くが反対し、Cannubiの区画は従来の15ヘクタールであるべきだと反発している。

反対の主張は、これまでの15ヘクタールの区画こそがCannubiの最上のワインを産出するエリアであり、世界で最もプレステージ性の高いワイン畑のひとつであるCannubiがその価値を低下させてしまうというもの。

エリアが広くなればワインの産出量は増え、商業的には良いのかもしれないが、ひとりの生産者の都合でCannubi全体の価値が下がるのは容認できないとしている。

更に、地域のことは地域の生産者が決めるべきであり、事情を知らない首都の役人や裁判所が決めるべきことではないと反論する。

バローロの区画の境界については、1990年代以来バローロ全体のワイン生産者が参加して、彼ら自身でその境界を決めてきたという経緯があり、Cannubiについては15ヘクタールとするとの合意ができた。

しかし2010年にCannubiのエリアが15ヘクタールとするとする最終決定が下る直前にMarchesi di Barolo(マルケージ・ディ・バローロ)がイタリアワイン委員会に異議を申し立て、委員会での密室協議により34ヘクタールに拡大されたという経緯がある。

しかしCannubiの生産者らは2012年、地方裁判所にワイン委員会の決定の不服を申し立て、裁判所はそれを認め、Cannubiの区画は当初の15ヘクタールに戻された。

しかし1年後の2013年、今度は上級審でふたたび34ヘクタールが認められた。

Cannubiの生産者で今回の決定に強く反対している生産者には、Bartolo MascarelloのMaria Teresa Mascarello、BrezzaのEnzo Brezzaらがいる。

Cannubi: A Vineyard Kissed by God (You Tube)


【Behind the Scene】

ワインエリアの境界をどうするかという問題は、世界中の有名産地で起きています。有名生産地の名前が名乗れるかどうかは、ワインが売れるか売れないかに関わる大きな要素のひとつだからです。

例えばChablis(シャブリ)は、はじめ500ヘクタールほどのエリアでしたが、今では5000ヘクタールにもなっています。その区域内でワインを造れば、どのワインもChablisを名乗ることができ、消費者へのアピールでは優位性を持つことができます。

この問題はGeographical Identification(GI)の問題と呼ばれ、世界各地のワイン産地で、エリアの境界をどうするかが議論されています。

(伊藤嘉浩)




【関連ページ】

『有名産地のワインほど吟味すべし』のバローロの項

オーストラリアワインでChampagneなどのラベル表示が不可に―EUとの表示問題で合意へ 【EU・オーストラリア】 2007年6月7日』




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