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オーストラリアのワイン会社トップ20 【オーストラリア】 2010年4月14日


2009年のオーストラリアのワイン会社のトップ20は以下のようになった。このランクは売上高の順位で、推定の会社も含まれる。


会社名 年間売り上げ(A$) ぶどう調達量(t 本拠地
1 Foster’s Group 1.2b 211,000 オーストラリア
2 Comstellation Wines Australia 700-900m 300,000 アメリカ
3 Pernod Ricard Pacific 673m 147,000 フランス
4 Casella Wines 427m 191,000 NSW
5 Australian Vintage Ltd 288m 14,231 (自社畑のみ) SA
6 De Bottoli Wines 198m 2200 NSW
7 Lion Nathan 170-175m N/A オーストラリア
8 McWilliam’s Wines 168m 40,000 NSW, SA
9 The Yalumba Wine Company 90-100m 35,400 SA
10 Brown Brothers 80-82m 14,231 VIC
11 Watburn Estate 73m 40,000 NSW
12 Tahbilk Group 72m 10,300 VIC
13 Angove 56m 13,600 SA
14 Kingston Estate 52-54m 60,000 SA
15 Grant Burge Wines 55m 6,500 SA
16 Peter Lehmann Wines 52.6m 14,829 SA
17 Garacama 29-33m 13,500 VIC
18 Tyrell’s Vineyards 33m 4,000 NSW
19 Cheviot Bridge 30.3m N/A VIC
20 Zilzie Wines 30m 35,500 VIC
(注)A$:オーストラリアドル 1m:100万ドル 1b:10億ドル
   NSW:ニューサウスウェールズ州 SA:南オーストラリア州 VIC:ヴィクトリア州



上位3社は世界企業だが、ここではオーストラリア国内でのワイン生産の売上を計上している。いくつかの会社について、簡単に見てみよう。


1位 Foster’s Group
2位 Comstellation Wines Australia

どちらも既存のワイン会社、ワイナリーを買収して巨大化した世界最大級のワイン会社だ。皮肉なことに現在、どちらも経営的に順調とは言えず、保有資産の売却、人員整理など、効率化を余儀なくされている。


3位 Pernod Ricard Pacific

Pernod Ricardは、フランスに本拠を置く大酒類資本だが、オーストラリア、ニュージーランドにも有力な酒類ブランドをいくつか所有する。オーストラリアでの生産ブランドで、世界売上に最も貢献しているのは、何といってもJacob’s Creekだ。Jacob’s Creekは世界で最も名前が知れたワインブランドのひとつといっていいだろう。


4位 Casella Wines

この会社名はほとんど聞いたことがないかもしれないが、Yellow Tailというブランド名を出せば、知っている人も多いのではないだろうか。Yellow Tailは、日本ではさほど露出が多くないかもしれないが、アメリカへは年間1000万ケース以上が輸出される、オーストラリアワインの輸出の牽引車だ。


7位 Lion Nathan

この会社も日本ではほとんどなじみがないかもしれないがLion Nathanは、実は日本のキリンビールの完全子会社だ。

Lion Nathanは、オーストラリアとニュージーランドに多くのビールブランドとワインブランドを持っている。代表的なオーストラリアのワインブランドにPetaluma、St Hallett 、Tatachilla、Banksia、Knappstein、Mitchelton、Stonierなどがある。

Lion Nathanはキリンの連結決算でも、キリンビール本体を別にすると、キリンビバレッジに次ぐ高収益を上げる優良会社だ。しかし、現在のところ日本の市場において、Lion Nathanの所有するワインを積極的に展開する様子はあまり見られない。

オーストラリアのワイン会社の売上トップのFoster’s Groupは不振が続いているが、Foster’sのワイン部門売却は、なかなか話がまとまらないのが現状だ。もしキリンが、Lion Nathanを通じて(あるいはほかの方法であっても)Foster’sに食指をのばすようなことがあるとすれば、キリンは一躍世界最大のワイン会社に躍り出ることになるかもしれない。

Lion Nathanが日本のキリンの所有であることは、オーストラリア、ニュージーランドではよく知られている。なおLion Nathanは、キリンビールの完全小会社化に伴い、2009年10月21日、株式を非上場とした。



統計によれば、2009年現在でオーストラリアのワイナリー数は2420となり、前年と比べ100以上増えている。

しかしワインの売上全体を見てみると、オーストラリアの国内販売、世界輸出市場とも、上に挙げた上位20社で、売上のおよそ90パーセントを占めている。ということは、残りの10パーセントの売上を圧倒的大多数の中小ワイナリーが分け合っているという構図となる。

過去10年以上にわたってオーストラリアワインの快進撃は続き、今では世界市場で押しも押されぬワイン大国となったオーストラリアだが、そろそろその成長にも鈍化傾向が見られ、ひずみも出始めてきている。

政府の強力なワイン産業育成政策によって進められたぶどう園増加策は、オーストラリアワイン全体の牽引役になったことは間違いないが、今では生産過剰の波が押し寄せている。

現在は、世界経済の停滞で世界消費に勢いがない中、ワインの売上も停滞しているが、オーストラリア経済は好調と言ってよく、オーストラリアドル高が続いていることも、オーストラリアワインにとっては二重の大きな逆風だ。

しかし最も懸念すべきは、国内市場・国際市場とも大生産者のワインばかりが並べられ、個性的な高品質な中小の生産者が造るワインが多くあるにもかかわらず、オーストラリア国内はもとより、世界の消費者がアクセスできないというバランスの悪い市場構成にあるのではなかろうか。

(伊藤嘉浩)



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