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世界のエアライン各社、ファーストクラスのワインを格上げの動き 2009年11月13日


世界の有名エアライン各社で、主にファーストクラスとビジネスクラスで提供されるワインをより上質なワインに変更する動きが出ている。

これは2008年10月以降、世界を襲っている経済不況で、それまで好調だった高額ワインが一転して不振となって、在庫がはけない状況が続いているためだ。

たとえば、世界で最も優良なエアラインのひとつに挙げられるシンガポール航空では、年間220万本のワインを購入し、1600万ドルを費やしている。その内訳を見ると、18万8000本がファーストクラス用だが、全体のおよそ半分の金額がそれに支出されている。またファーストクラスを除いた3分の1(およそ60万本:1ケース12本入りで5万ケース)は、ビジネスクラス用のワインとなっている。

世界のワイン界にとって、航空各社は物量も大きい上に高額ワインの需要が大きい重要な市場だ。現在の世界の特に高級ワインの需給環境は、航空各社にとってワンランク上のワインが値打ちに入手できる環境で、乗客へのサービスのアピールとしてはうってつけの状況となっている。

一方で世界の有力エアライン各社では、顧客獲得と顧客満足の向上のために、ワインセレクションが非常に厳しくなっているといわれ、前述のシンガポール航空では1000種類のワインから16〜18種類が選択されると言う。ワイナリーにとっては、自社のワインが世界の空を飛ぶというのはそう簡単なことではないようだ。

エアライン各社のワインセレクション重視の動きは、世界のトップエアラインズにとって顧客獲得競争が繰り広げられる中、顧客へのアピールという意味でも軽視できず、エミレーツ、カンタス、ブリティッシュエアウェイズ、ルフトハンザ、キャセイパシフィックなど、大手航空会社でその動きが加速している。

各社のワインセレクションで共通するのは、セレクションの品揃えの半数はヨーロッパ以外のいわゆるニューワールドのワインが占めるようになったことだとされる。また、特にビジネスクラス以上で供されるワインで、いい加減なワインを出すなどということはもはや考えられないことだという。

Business Traveller誌の最新のCellars in the Sky wine awardsでは、ルフトハンザ航空がベストファーストクラス白ワイン部門、ベストファーストクラススパークリングワイン部門など4部門で1位を受賞しており、カタール航空、キャセイパシフィック、ニュージーランド航空、シンガポール航空も上位に選ばれている。

Business Traveller誌では、ワインの本場であるエアフランスと、先ごろエアフランスと統合が図られたFrance-KLM(現在ヨーロッパ最大級の航空会社)傘下のオランダKLMは選ばれておらず、フランスワインの不振はこんなところにも表れているのかもしれない。



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