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遺伝子操作ぶどうにゴーサイン 【フランス】 2005年7月15日

アルザスでの遺伝子操作されたぶどうの台木(root stocks)を使っての実験にフランス農務省が許可を与えた。

このテストは、National Agricultural Research Institute(INRA)のもとでこの秋から始められる。その目的は、遺伝子操作によって作られたぶどうの台木が、ファンリーフ(fanleaf)の被害を食い止めることができるかどうかを確かめようとするものだとしている。

ファンリーフは、ファンリーフウイルスによって引き起こされるぶどうの病気で、感染すると深刻な収量の低下をもたらす。感染経路はいくつかあるといわれるが、主要経路はすでに感染した苗木を使った場合やネマトード(nematodes)と呼ばれる小さな虫によって媒介される。

遺伝子操作されたぶどうを使うことに対しては、主要なワイン生産者たちで組織する団体として知られるTerre et Vin du Mondeが反対をしている。(この団体には、Leflaive, Romanee-Conti, Ch Latour, Smith-Haut-Lafitte, Cos d'Estounelらをはじめとした世界的な名声を持った生産者が参加している。)

INRAは、この実験は厳重な管理のもとで行われ、商業的な意味合いは持っていない。実験で使われるぶどうからは、ぶどうを収穫することもなければワインを造ることもないとしている。実験結果は、ぶどうを病気から守る研究を発展させることに役立ち、それがぶどう生産者たちに福音をもたらすことになる、としている。


【Behind the Scene】

ワイン界における遺伝子組み換えについては、市場ではあまり表面化はしてきませんが、ここ数年世界のそこここで研究が進められています。

ワインについての遺伝子組み換え論は、単に植物としてのぶどうに対してだけではなく、酵母をはじめとしたワインに関わる微生物もその対象になってきます。『ワインの本質』にも示したように、ワインは自然界の生命活動の営みをベースに生まれてくるものですから、遺伝子操作の守備範囲も広いということになります。

2005年7月の現時点において、私の知る限りでは、商業ベースで酵母の遺伝子操作を含めて、遺伝子操作されたワインが販売されているという事実はありません。しかし一方では、ぶどう作り・ワイン造りにおいて防虫剤・殺虫剤などの農薬を使うことへの抵抗もあり、虫や病気に強いぶどうを使えばそれらを回避できる、そのためには遺伝子操作されたぶどうを導入すればそれが可能になる、という議論もあります。

現にぶどう以外のほかの作物では、市場に遺伝子操作されたものが投入され消費されています。ワインの生産者たちは、消費者の動向・市場の反応を注視しながら実験による遺伝子操作の結果も気にしています。

遺伝子操作ワインについては、この先ワイン界において、主要なトピックのひとつとなっていくのではないかと思われます。

(伊藤嘉浩)







       

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