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余剰ワインを工業用アルコールに転換、EUが補助金支出 【フランス】 2005年5月4日

Bloombergは、EUは4月29日、フランスとスペインの余剰ワインに対して、それらワインを工業用アルコールに蒸留するための補助金を拠出することを決定した、と伝えた。

それによると、補助金は1億5000万リットル(750ml換算で2億本)のEU基準によって相当の品質が確保されているとみなされたフランスワインに対して拠出される。また、同様に4億リットル(750ml換算で5億3000万本)のEU基準での最低ランクの品質のスペインワインの工業用アルコール転換に対しても支払われる見込みである。これにかかる費用は1億4500万ユーロ(約200億円)にのぼる、とEUスポークスマンは表明した。

ヨーロッパのワイン生産者たちは、自国のワイン消費量の減少に加えて、オーストラリアやチリといったニューワールドからのワインの急増に伴って、政府からの補助金を当てにするようになっている。フランスでは、国土の1.7パーセントをブドウ畑が占めるが、ワイン消費量は過去40年間でほぼ半分になっている、と伝えている。

イギリス第2のスーパーマーケットチェーン、ウォルマートのワインバイヤーSara Brookは(イギリスは世界最大のワイン輸入国)、フランスとスペインがその地位を失っているのは疑う余地がない。ニューワールドのワインのほうがいまやずっとコストパフォーマンスがいいのは間違いない、と語っている。

また、世界中のワインの65パーセントがヨーロッパで生産されるにもかかわらず、現在イギリスのウォルマートでは、半分以上のワインがニューワールドからのものだとも語っている。


【Inside the News】

ヨーロッパのワイン、とりわけフランスワインにとっては過去数年にわたって厳しい環境が続いています。その理由はいくつか挙げられますが、やはり一番大きいのは、オーストラリア、チリ、カリフォルニア、南アフリカなどのいわゆるニューワールドワインの台頭でしょう。いまや世界市場では、ワインを並べておくと、消費者の多くはニューワールドからのワインを買うようになっているのが実態です。(日本は今のところそうではありません。)

特にフランスの生産者の一部は大きな危機感を抱いていて、ひとつの対抗策としてフランス政府に対し、ラベル表示の見直しを求めています。いまや世界市場では、ラベルにぶどうの品種名を書くことが常識化していますが、フランスのAOCではできないのです。世界の消費者は、ラベルに表示されたぶどう品種をよりどころとしてワインを選んでいるのに、フランス式のラベル表示では消費者はそれがどんなワインなのか見当がつかない、というのです。

直近的には、ドル安・ユーロ高がヨーロッパワインの苦境に拍車をかけているのは否めないでしょう。決済通貨がユーロであるのかアメリカドルであるのかは、ワインの調達コストに大きな影響を与えます。

いずれにしても世界の消費者は、従来のオールドワールドのワインだけでなく、ニューワールドからのワインにも接することができるようになったため、比較のうえ自分の好みのワインを選択できるようになり、品質・価格をより幅広く選択できるようになったのは確かなことだと思われます。








       

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